シムラタケシ編⑦:再生

葉山

こんばんは!
長編でお届けしてきた
シムラタケシ編も
残すところ2話となりました。

全8話
ちょっとしたドラマみたいに
なっておりますが
読んでもらえて嬉しいですー

さて、葉山青年は
オカマの世界へと足を踏み入れるのでしょうか??



夕食を終え、ゆみさんと一緒に
旦那さんが経営している
サパークラブへ行くため
銀座へ向かった。


夜の銀座は想像以上に
煌びやかだった。


普段足を運んでいる
新宿の煌びやかさとは
一味も二味も違ったものだった。



成功を夢見るものが
集まる場所が新宿だとしたら
銀座は成功ではなく
豊かさや品を纏った人で溢れていた。


同じ東京とは思えないほど
世界が二分されていることを
肌で感じた。

とあるビルの地下に
そのお店はひっそりとあった。



中に入るなり
男性の声が響き渡る

男性①:「いらっしゃ〜〜〜〜〜〜い❤️」

男性②:「あ〜〜〜ら、ゆみさん
   今日はどうしたの??」

ゆみさん:「みんなお疲れさま〜〜〜
     今日はねスペシャルゲストを
     連れてきたの〜〜〜」

葉山:「………」

男性①:「あら?あんた
   かわいいじゃな〜〜〜〜い❤️」

男性②:「こっち座って〜〜ほら〜〜」



俺は両サイドから
腕をガッツリ掴まれ
席へと案内された。

男性①は歳の頃からして
40代後半のハゲた中年で
名前を「としお」と言っていた。

男性②は30代後半か40代前半
名前は「わかめ」


見た目は完全におじさんだが
言葉遣いが、、、
なんというか、女性でもなく
男性でもなく

これがオカマというものなのか…



初めて対面する生物を前に
さっき銀座で感じた
豊かさや品のある世界が
一気に崩れ去っていった。



ゆみさん:「公亮、ここがサパーなんだけど
     普通のサパーじゃないんだよ
     彼らはね、行き場がなくなった
     オカマちゃんたちなのね。

     それを旦那が拾って面倒見てる。」

葉山:「そうなんですね、、、」



俺はここで働くのか??

そんなことを思っていた瞬間
突然背中に冷たい何かか触れ
俺は「ひえ!!!!」
と飛び上がった。



後ろを振り返ると

わかめがガハハハと笑いながらこう言った。

わかめ:「あんたかわいいわね〜〜〜
    もうお肌スベスベ❤️」

としお「わかめ!!!!
    あんたばっかりズルい〜〜〜
    私にもさわらせて〜〜〜」

俺は唐突に
おじさん二人のおもちゃにされた。



二人がかりでTシャツを
脱がされそうになったが
ゆみさんが止めてくれた。


ゆみさん:「ちょっと!!
     この子はわたしの親戚(嘘も方便)だから
     手出したらダメよ〜〜〜」

としと&わかめ:
「な〜〜〜〜んだつまんない。」

そう言って、
テーブルから離れていった。

葉山:「ゆみさん、、、、
   流石にここで働くのは
   無理です、、、、

   ゆみさんの会社で
   働かせてください。」

俺にはこの選択肢しかなかった。



この後どれくらいお店にいて
誰と何を話したかというのは
全く覚えていない。


ただ、背中に触れた
冷たい手の感触とわかめの笑った顔は
いまだに覚えている。



それから数日後、
俺はゆみさんの会社へ行き
正式に働かせてもらうことになった。


俺はこんな経緯があり
美容業界に入り、営業職に就いたのだった。



ゆみさんの会社には
美容業界ということもあって
お姉さんたちがたくさん働いていた。

ちゃんとしたお姉さんだ。



ゆみさんの会社は
ちょっと風変わりな社風だった。

美容業界にも関わらず
稼ぎ時の土日祝は休み。


月〜金
10時出社19時退社
接客によって20時を回ることもあったが
プライベートも大切だからと
休みの時は休む。

そのかわり、仕事の時に
しっかり成果を出すこと。



この方針もあってか
社員のモチベーションは
非常に高く、仲も良かった。

休日に食事に行くこともあれば
家族ぐるみでBBQをすることもあった。



俺はそこで真面目に働くため
シムラと名乗った金融屋も辞め
ネットワークも辞めた。


基本給15万円+歩合


俺は入社した初月から
毎月25〜30万円ほど
稼ぐことができ
ゆみさんへの返済も
それ以外の返済も
毎月の光熱費も
滞りなく支払い続けることができた。


働き始めて4年経つ頃には
先日投稿したような紆余曲折もあったが


基本給も上がり
歩合でも稼げるようになり
400万円の借金も全部返済した。



熊本に帰って
実家の中華屋を継ぐ
27歳までの6年間


俺は本当にお世話になった。


この6年間で俺は
人生で大切なことを
全て学んだと言っても過言ではない。



その6年間でも特に大きかった学びを
次回まとめてシムラタケシ編を
終わっていこうと思う。


この6年で散々学んだにも関わらず
俺はまたお金に翻弄させられる。



次は10倍の4,000万円で返ってきた。



6年間で学んだことの
真意を理解できたのは
37歳になってからだと思う。


いや、もしかしたら
まだ理解できていないかもしれないが
今の葉山の礎となっていることは確かだ。



ゆみさんは
『いつか理解できる日が来る』
『例え嫌われても伝えるべきことを伝える』
そう思って、関わってくれていたと思う。


また明日、その学びをお届けする。

続く

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