シムラタケシ編②:レンタル業

葉山

こんばんは!葉山です。
今年ももうすぐ終わるんですね!
実感が全然ありませんが、、、
みなさん体調など
くれぐれもご自愛くださいね!!
では、シムラタケシ編続きをどうぞ^^



宮本は、俺の一個上
関西出身と言っていたが
全く訛りはなくThe 東京の人
って感じだった。


宮本はアイスコーヒーを飲み干すと
俺に仕事の話を始めた。



俗にいうMLMだ。



自分で商品を購入し
その商品を販売、手数料が収入になり
紹介者がまた誰かに商品を販売すると
%は少なくなるが
一部手数料が入ってくる。



音楽しか知らなかった俺は
その仕事内容が画期的に思え
また、その仕事をすることで
音楽活動もより力を入れられる
そう思い、始めることにした。



新宿の喫茶店では
そのグループのメンバーが
毎日のように集まり
親睦を深めていたのだ。



その仕事、、、
今となってはそれを
仕事だとは言えないが



俺はどっぷりハマってしまった。



少ない友人に声をかけまくり
2ヶ月くらいで
10名ほどのグループになり
表彰されたりもした。



一件あたりの販売手数料も大きく
毎月20万円ほどの稼ぎにもなっていた。



そんなことも長くは続かず
最終的には
追加で商品を購入したりして
ローンの返済に追われるようになった。



ところが俺の脳は
一度味わった甘い蜜に毒され
「すぐに稼げるようになる」
「俺はやればできる」



誰か一人でも
買ってくれる人を見つければ
また収入も上がる。



大丈夫、すぐに稼げる。



ところが実際にそんな
『大丈夫になる日』は
やってくることもなく
気づけばローンや消費者金融
キャッシングなどの借入で
借金は400万円ほどに膨らんでいた。



そんなことになりながらも
俺は喫茶店に通っていた。



完全に何かが麻痺していたのだと思う。



・いつかきっとうまくいく
・俺なら大丈夫
・みんないい人
・なんとかなる


こんな思いに支配されていた。


一種の病気のようなものだ
自分にとって都合のいいこと以外
誰の言葉も届かなくなっていた。



今思えば、俺はこの病気を
36歳まで何度も患ったのだと思う。



日雇いのバイトでも
返済がどうしようもなくなり
ついに電気とガスが止まった。



これは真剣に職を探さないといけない
俺は求人募集の雑誌を購入し
仕事を探している中で
一つの募集に目が止まった。



—レンタル業—
年齢性別経験不問
土日祝休み
初任給30万円〜



なんだこの仕事?
初任給で30万円???


めっちゃ美味しいじゃん!!

面接に行こう!!



相変わらずの病だ。



俺は面接のため
新大久保へと向かい
雑居ビルに入った。



「よし!これで毎月30万円稼げれば
またみんなと一緒に仕事ができる!!」



事務所と思われる入り口の扉は閉ざされ
「御用の方はインターフォンを押してください。」
と張り紙がしてあった。


俺は張り紙の通りインタフォーンを押した。

ピンポーーン



男性:「はい」

なんとも言えない乾いた声。

葉山:「こんにちは、面接に来ました葉山です。」

男性:「はい、どうぞ入って」

ウィーーン
ガチャ

鍵の開く音がしたので
俺は扉を開けて中へ入った。



葉山:「失礼します、、、」

事務所、と言っても
広さは15~20坪ほどだったと思う。



狭い部屋の奥にはデスクが4つ
向かい合って並んでいて
従業員と思われる男性と女性が座り
何やら電話をしている雰囲気だった。



デスクの手前に仕切りがあり
応接用のソファーと低いテーブルがあった。



男性:「そのソファーに座っててください」

葉山:「あ、はい…」

そう返事をして俺はソファーに座った。



俺はてっきりその男性が
面接をしてくれるのかと思っていたのだが
もう一人、奥から男性が出てきた。



そして、その男性は
俺の前を通り過ぎ
事務所の扉へと向かった。

(あ、お出かけかな…)

と思っていたら

ガチャ

扉の鍵が閉まる音がした。



扉の鍵を閉めた男性が戻り
俺の前に座った。



男性:「今日面接の葉山さん?工藤です。」

葉山:「あ、はい、葉山です。
   よろしくお願いします、、、」


一体何の仕事なんだろうか、、、


続く

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